なぜFXは難しいのか
FXは、為替レートが上に動くか下に動くかを考えて取引するだけです。なのに、なぜ難しいのでしょうか。
- 手法が良くないから
- 発表された経済指標の数字が良くなかったから
- 相場が分からないから
人によって、さまざまな意見があるでしょう。しかし、もっと根本的な理由があります。これを理解するには、相場の仕組みを考えると分かりやすいです。
相場は、お金の奪い合い
ある時、FXで利食いできたとします。資金が増えます。このお金は、誰が支払ってくれたのでしょうか。ディスプレイの向こうから、勝手にやってくるお金でしょうか。
あるいは、損切りしたとします。このとき、損して消えたお金はどこに行くのでしょうか。文字どおり、消えてなくなってしまうのでしょうか。
これを考えるために、とても小さな相場を考えましょう。AさんとBさんが、2人だけでFXを始めたとします。
現在の為替レートは、100円です。Aさんは、これから上昇するだろうから買いたいと思いました。Bさんは、これから下落するだろうから売りたいと思いました。思惑が一致したので、売買成立です。
その後、為替レートは110円になりました。
Aさんは利食いしたいと思いました。Bさんは、損切りしたいと思いました。ここでも思惑が一致したので、売買成立です。結果、Aさんの資金は増え、Bさんの資金は減りました。
Aさんの資金は増えましたが、ディスプレイの向こうから勝手にやってきたのではありません。Bさんが支払ってくれたお金です。
また、損切りして減ってしまったBさんの資金は、消えてなくなったのではありません。Aさんのものになったのです。
そして、AさんとBさんの資金の合計額は、全く変化していません。それぞれの所有金額が変わっただけです。
参加人数が多くなっても、この仕組みは変わりません。
すなわち、FXで資金を増やせる人というのは、他の人から資金を回収していることになります。上手な人は、資金をどんどん増やすでしょう。しかし、損する側は、いつまでも損し続けることはできません。
自己資金が底をついてしまうからです。
こうして、損した人はFXから退場します。しかし、資金を増やす人は、さらに増やします。すなわち、別の人が、新たに資金を回収される負け組になります。
その結果、少数の人が圧倒的に資金を増やし、圧倒的に多くの人が損するという構図が出来上がります。
相場が難しい理由、それは、「少数の人が圧倒的に資金を増やしてしまい、多くの人を損に追い込んでいるから」となります。
どのくらいの割合の投資家が損失を計上するのか
では、実際のところ、どれくらいの割合の個人投資家が損失を計上するのでしょうか。
フランスの金融庁が、これを調査しました。2009年から2012年の4年分の個人投資家のトレード成績を、FX業者から回収したのです。そして、分析結果を公開しました。
結果、以下の通りです。
損になった人の割合:89.4%
資金が増えた人の割合:10.6%
個人投資家の実際の取引データを使った分析です。しかも、4年間もあります。このデータの信頼度は高いでしょう。
すなわち、FXに限らず、相場で資金を増やすのは大変なことです。
しかし、デイスキャFXを学ぶことによって、資金を差し出す側でなく、資金を受け取る側になることが目標です。
次に、「デイスキャFX」が対象とするスキャルピングについて考えてみましょう。